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このSSは月姫とToHeart2のクロスオーバー作品です。










       「うららかな昼下がりに」










「今日も遠野君早退しちゃったんですね・・・・・」

彼女の名前は小牧愛佳、クラスメイトからは『委員長』というあだ名で親しまれている。

「けど、授業始まってすぐに帰る程悪かったのなら無理しなければよかったのに・・・・・」

彼女のクラスメートで友人の遠野志貴は今日、授業が始まってすぐに早退していた。

「委員長、どうかしたのか?」

そういって愛佳に話しかけたのは、志貴の親友である乾有彦だった。

「えっと、今日遠野君が1限目が始まってすぐに帰っちゃったんで、どうしたのかなって・・・」

「ああ、そのことか・・・あいつ、中学の頃から体が弱いらしくてよく貧血とかで早退してたんだ、貧血だからいつ悪くなるかもわからないらしいし・・・・・まあ、休んだことはほとんどないんだがな」

といって有彦は肩をすくめた。

「そうだったんですか・・・・・ねぇ、乾君。遠野君の家がどこか知ってますか?」

「知ってるけど・・・愛する志貴君のお見舞いか?」

にやけて言う有彦。

「なっ!何でそうなるんですか!?そんなことないですよ!私は今日のプリントとかを届けてあげようと思っただけです!」

ぶんぶんと手をふって抗議する愛佳、しかし・・・・・

「何言ってるんだ?皆知ってるぞ?」

「えっ、なっ、何を・・・?」

「委員長が志貴のこと好きってこと」

「嘘っ・・・・・」

「ごめん・・・委員長」

「見ててあまりに微笑ましかったから、つい・・・」

助けを求めるように周囲を見渡す愛佳だったが、帰って来たのはそんな言葉だった。

「ってことだ・・・まあ、志貴は気づいてないだろうけど・・・」

「・・・・・」

「あれ?委員長?」

「えっ、あっ、あはは・・・そっ、それじゃあ行きましょうか、乾君・・・」

渇いた笑いをあげて言う愛佳。

「えっ、何処へ?」

「遠野君の家に決まってるでしょ!道を知らないから聞いてたんじゃないですか!」

愛佳は顔を真っ赤にして怒鳴った。

「でもまだ授業残ってるぞ?」

「えっ?・・・本当?」

うなずくクラスメート達。

「あっ、あはは〜・・・・・失礼しました・・・」










「まったく・・・そそっかしいんだから・・・」

「う〜、だからごめんなさいって言ってるじゃないですか・・・」

放課後、有彦は愛佳を志貴の家まで送っていた。

「俺もある程度は期待してたが、あそこまで取り乱すとはな」

「だって皆があんなこと言うからっ!」

「けど、志貴だけは気づいてないぜ?あいつ程鈍感なのも珍しいがな」

そういって笑う有彦。

「それが一番困るんじゃないですか!もう、そんなにからかうなら知りません!」

そう言って愛佳は一人で先に行こうとした。しかし・・・

「委員長・・・道、知ってるのか?」

「・・・・・すいません、知らないです・・・」

「ならついて来るしかないな」

彼女に抗う術は残されていなかった・・・










「よし、着いたぞ委員長」

「やっとで・・・す・・・か・・・」

家を見て絶句する愛佳。

「えっ、ちょ、ちょっと待ってください。ここ、本当に遠野君の家ですか!?」

そういって愛佳が有彦に詰め寄る。

「ああ、間違いなく遠野の家だぜ」

まるで悪戯が成功した子供のように笑う有彦。

「うっ、嘘・・・・・」

「まあ、これが現実(?)さ諦めるんだな。それじゃ、頑張れよ」

よくわからない慰めを残して有彦は帰ろうとする。

「って何処に行くんですか!?」

驚いて有彦を呼び止める愛佳。

「何処に行くって・・・俺は道を教えてってこと以外頼まれてないぞ?」

「えっ!そっ、そうですけど・・・」

「じゃあ後は頑張れよ〜」

「あのっ!乾君!?」

しかし、愛佳の悲痛な叫びが報われることはなかった。

「あれ、帰っちゃたのかな?」

(どうしよう私一人でここに入るの?けど、ここまで来ちゃったらしょうがないよね・・・)

チリンチリン

完全に腰が引けた状態で呼び鈴を鳴らす愛佳。

「はーい、どちら様でしょうか?」

するとドアが開き割烹着を着た女性が出てきた。

「あっ、えっと、わっ、私は遠野く・・・・しっ、志貴君のクラスメートで小牧愛佳と申しますがっ!」

緊張のせいで詰まりながら言う愛佳。

「あっ、志貴様のお友達の方でしたか、私は侍女の琥珀と申します」

「じっ、侍女・・・ですか・・・」

「はい♪あっ、ここで立ち話っていうのも悪いので中へどうぞ♪」

そう言って中に入るように勧める琥珀。

「あっ、えっ、いや、あの、プッ、プリントとか持って来ただけなんで、そんなとんでもない・・・・・」

まだ自分なりに整理ができていないために混乱する愛佳。

「あれ?小牧さんどうしたの?」

そしてその時、遂に諸悪の根源(遠野志貴)がやって来た!

「あっ!志貴様♪ちょうど良いところに♪」

「あっ、あの、遠野君、私はプリントとか持って来ただけだから!」

ほとんど同時にそう言う2人。

「どうしたの?2人とも?」

「ちょうど今からお茶にしようかと思っていたので、小牧様と3人でいかがでしょうか?」

折角のお客様ですしと付け加える琥珀。

「うん、俺は別にいいけど」

「えっ!・・・だっ、だけど・・・」

そう言って断ろうとする愛佳。しかし・・・

「ちょうど時間もいいから寄っていってよ。小牧さんが嫌なら無理にとは言わないけど・・・・」

そういって志貴は悲しそうな顔をする。

「えっ、あっ、いやいやいや、そんなこと言う訳ないじゃないですか〜、うん!私もちょうど何か飲みたいかな〜なんて・・・」

(そんな悲しそうに言われたら断れる訳がないじゃないですか!)

「そうですか。それではついてきて下さいね」










そして訪れた客間で愛佳は固まっていた・・・

「・・・・・・・・・・」

(やっぱり外見通りっていうか・・・すごい・・・。客間がこんなに広いなんて・・・・・)

「どうしたの?小牧さん?」

「えっ、あっ、いや、なんかすごいな〜って・・・・・」

ぼーっとしているところを見られたせいか赤くなって答える愛佳。

「確かに・・・俺も帰ってきたばかりの時は驚いたよ」

そういって苦笑する志貴。

「それじゃあ、私は用意をして来ますね〜」

そういって琥珀が部屋を出て行く。

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

途端に部屋に微妙な空気が流れてくる。そして・・・

「「あの」」

2人の声が重なる、どうやらこの2人は定番が好きなようである。

「こっ、小牧さんからどうぞ!」

「とっ、遠野君こそ!」

「「・・・・・」」

「いい雰囲気のところすみませんが用意ができましたよ♪」

そう言って突然現れたのは琥珀だった。

「!はっ、速かったね・・・」

「ほっ、本当にそうですね・・・」

突然琥珀が戻ってきたことに驚く2人。

「先に準備は済ませてましたから〜」

「えっ、・・・けど今、用意してくるって・・・」

「はい、そうですよ〜、『用意』して来ました〜」

「えっ、けど同じ・・・」

「戻ってみたらあまりにも定番な事をしてたんで・・・つい」

愛佳に最後まで言わせない琥珀。

「いい雰囲気になるならもっと場所とか時間とかも考えて下さいね?」

笑顔で2人にそういう琥珀。

「こっ、琥珀さん!いい雰囲気って何ですか!?」

「そっ、そうですよ!これっぽっちもいい雰囲気じゃなかったですよ!」

「・・・そんなに思いきり否定しなくても・・・」

愛佳に否定されて落ち込む志貴。

「えっ、あっ、あ〜、ごめんなさい、そんなつもりじゃ・・・」

消えそうな声でそういう愛佳。

「嘘だよ。本当に騙され易いなー小牧さんは」

「う〜、遠野君、酷いです・・・」

「こうして見てるとまるで恋人のようですけどね〜」

さらりととんでもないことを言う琥珀。

「なっ!こっ、琥珀さん!」

「こっ、恋人だなんて・・・」

驚く志貴とは対照的に真っ赤になって恥ずかしがる愛佳。

「ちょっと小牧さん、小牧さん!」

「えっ、あっ、えっと、そんな、せめてもっと仲良くなってからの方が・・・あっ、でもいやっていうんじゃなくて、むしろOKっていうか・・・その、こうもっと、順序って物が・・・」

矢継ぎ早にそう話す愛佳。

「志貴様、小牧様は意外と乗り気なようですが?」

笑顔でそういう琥珀。

「ちょっ、ちょっと小牧さん、落ち着いて!」

「えっ?・・・・」

落ち着くと同時にさらに愛佳の顔に赤味が増していく。

「えっ、あう、えっと、あの、すっ、すいませんでした!」

頭をこれ以上下げられないであろうところまで下げる愛佳。

「いや、落ち着いたなら問題ないから・・・それより琥珀さん、悪い冗談はやめて下さい!」

「私は見たままを言っただけですよ?」

怒る志貴に対してしれっとそういい放つ琥珀はかなりの大物であろう。

「琥珀さん!」

「え、えっと、そんなことよりお茶飲みませんか?」

そういって話をそらそうとする愛佳。しかし・・・

「そうですね・・・・それではお茶を飲みながら話しましょうか♪」

「・・・はぁ〜、もう好きにしてください」













あとがき



初めまして〜イルファといいます。このSSは面白かったでしょうか?何?面白くなかった・・・・・(ピキッ)

あたり前だろうが!これが初めてだよ!どうせヘタレだよ!何か文句あるか!人類の進化の過程を馬鹿にするな!!

はぁはぁはぁ・・・・・ともかく、これからもよろしくお願いしますね〜