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音夢と過ごす甘い昼食


ここは桜が枯れぬ島。

 その島、ある学園の屋上で、二人の男女が抱き合っていた。

 少年の名は朝倉純一。

 時は、今日の四時間目終了時に遡る。



「かったるい・・・財布忘れてきちまったよ。」

 呟くのは例の少年、彼はどうやって昼飯を調達しようかと頭をフル回転している。

「杉並・・・はパスだな。後で何要求されるかわかったもんじゃない。」

「呼んだか?我が同胞よ。」

「誰も呼んでないし、同胞と思った覚えもないぞ?」

「ふっ・・・今更照れるな。この学園には我らの共同作業がギッシリ詰まっているではないか。」

 気持ち悪いことを言っているようだが、彼は決してホモだといううワケではない。

 そんなやり取りはいつものこと、純一はそろそろ無視して思考を本題に戻す。



「・・・やっぱりここは音夢だな。」

 これも、決して彼に男友達が杉並以外いないと言っているわけではない。ただ、このSSの展開上音夢を選んでくれないと困るのだw

 腰を浮かし、音夢を探す純一を杉並のにやけた視線が映す。

 普通なら不審に思いそうなものだが、こいつにいちいち付き合っていたら時間がいくらあっても足りないため素で無視を決め込むことにした。



 程なく目標を発見、教室を出ていこうとする音夢にすばやく近づき、手短に用件を説明する。

「私もお金ないんですけど・・・」

 作戦失敗!ふと見ると音夢は自分の鞄を漁っている。純一はいやな予感に思考を別のところに逃がしたようだ。



―――しょうがない・・・不本意だが杉並にでも借りるか・・・

「あの〜兄さん?」

―――いや・・・美春に弁当を分けてもらうって手もあるな。あいつの料理はかなり上手いからな。

「よかったら・・・」

―――屋上に行けば・・・眞子達が鍋をやってるかもしれねぇな。

「私のお弁当でよければ・・・」

―――職員室って手もあるな!さくらもいるし飯の調達くらいできるだろ!
「一緒に食べませんか?」

―――そうか・・・その手があったか・・・そうだな・・・目の前に食べ物の形をした毒物があるじゃないか・・・。

「ささ、一緒に行きましょう♪」

「助けてくれーー!」




「ささ、兄さん、沢山食べてください♪」

 音夢はまず卵焼きを勧めてきた。

 特に焦げているわけでもない、色が黄色でないわけでもない、いたって普通の卵焼きである。

「断る。」

 断固拒否である。おそらく、彼女の料理を口にしたことのあるものなら皆、口を揃えてそう言うだろう。

「卵焼きの気分ではありませんか・・・では、先に鰆の塩焼きをどうぞ♪」

「だめだ、悪いが・・・食べられない。」

 過去に彼女の料理を食べ、泡を吹いた経験のある彼なら納得のいく返答だろう。

「兄さんもしょうがないですね・・・ならこの、ミートボールはどうですか?自信作ですよ。」

「何を勧められても、堅くお断りする。」



 彼女は終始笑顔であった。おそらくすれ違えば大半の男が振り向くであろう。

 しかもそんな彼女は箸でおかずをつまみ、左手を添えて純一の口元に向けているのだ。

 振り向いた男のほとんどは、純一を自分と置き換えて妄想にはげむことであろう。

 そんな彼は終始無表情である。

 彼は今、自らの命を守るため必死の攻防戦の最中なのだ。

 たとえ目の前の少女のスカートがめくれていても、それを見る余裕も指摘する余裕もありはしなかった。



「兄さんも強情ですね・・・。」

「生きるためだ、必死にもなる。」

「仕方ありませんね・・・。」

「諦めたか?」

 やっと開放されたかと思った、しかし、彼女はそんなに甘くない!

 緊張の表情で自分の弁当を食べる音夢を見つめる。



「・・・・・・」



 しかし妙である、租借している様子がない。

「・・・・・・飲み込まないのか?」

 純一が口を開いた瞬間、彼女はそれを狙っていた。



「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 ・・・・・・口移しである。

 口移し→飲食物を自分の口から他人の口へ移し入れること。《口移》(グーグル辞書検索より)

 抱きつく勢いで迫ってきた音夢に、咄嗟のことで力が入らなかった。

 つまり・・・押し倒される格好になってしまったわけである。



 冒頭の一文に期待された方、スミマセンw



「わ〜音夢先輩と朝倉先輩らぶらぶですね〜。」

「美春!?いたのか!?じゃなくって見てるなら助けろ!」

 美春の頬はほんのり赤く染まっていた。ふと見ると、音夢の顔は更に赤い。



―――恥ずかしいならそんなことやるなよ・・・。



「美春!別に俺達はお前が想像してるようなことをしてるわけじゃないぞ!?」

「駄目ですよ〜美春にはらぶらぶ活動をするお二人の邪魔をするなんてできません♪って朝倉先輩!美春が何を想像してるっていうんですか!美春はそんな子じゃありません!」

 駄目である、完全に誤解の方向暴走中である。

「では美春はお二人の邪魔をしないよう離れた所で観察させてもらいますね〜あ、白河先輩こんにちわですっ」

 振り向いて離れようとした美春は誰かに挨拶したようだ。



―――白河・・・?



「美春ちゃんこんにちわ。」

「こ・・・ことり!?いや・・・これは・・・うっモゴモゴ」

「兄さん・・・今は私以外の女の子なんて見たらいけませんよ・・・?」

 口を一旦開放された純一は慌ててことりに言い訳をしようとするが・・・言い訳っていうか本当のことなんだがな。

 音夢は口に放り込むだけなので、すぐさま次のおかずが入ってきてしまう。



 「んっ・・・ちゅっ・・・んっ・・・はぁっ・・・」



 しかも今度のはよりやわらかいメニューであった、それを見越して音夢は自分の中で租借していないのだ。

 純一の口の中で、おかずと音夢の舌が激しく動き回る。

 ことりに見つかって更に抵抗を強めるが、下半身の付け根を押さえられ力が入らない。

 唯一抵抗の効く場所となると、首のほうに手がいってしまうのだ。

 さすがに妹の首を絞めるわけにもいかない純一は、傍から見れば身を彼女に委ねているようにも見える。

 ・・・つくづく怖い女である。



「そんな・・・学校の屋上でそんなこと・・・朝倉君、見損なったよ!」

「ち・・・違うんだ!これは音夢が勝手に・・・」

「私の家族に会ってくれるって言ったのに!朝倉君の浮気者〜!!」

「待ってくれことり!ちゃんと話し合おう・・・!」

「朝倉君なんか死んじゃえ〜!」

 去っていってしまった・・・屋上の扉を閉める音が辺りに響く。

 そういえば、よくこれだけしゃべる暇があったものである。

 ふと気になって純一は音夢の方を向いてみた。



「に・い・さ・ん?」



 ―――・・・・・・お父さん、ここに鬼がいます。




 この後純一は地獄を見たわけだが、壁の後ろに美春がいることはすっかり二人とも忘れているのであった。





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あとがき
ども、シキであります。
音夢といったら料理と、ネタを勢いだけで書き上げてみました。
普段はシリアス風味で自分は書くんですが・・・でっきさんはこういうのも好きかな、とw
そうと決まれば、じっくり推敲するわけにはいきません、考えれば考えるほどただでさえ少ない甘い成分が減っていってしまいます!
でわ、でっきさん、変人はほどほどにねw




管理人感想
シキさん…最高です!
いやぁ、甘めの音夢SSをどうもありがとうございます
しかし、執筆スピード早いですね……羨ましいです
では!
ジーク、音夢!!