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<3>



「こ、ここって…スイートルーム?」

チェックインしたときに貰ったカードキーで扉を開け、
美代を真っ暗な部屋のリビングルームの中に促してから灯りをつける。
その途端に、彼女が慌てたように言った。

マホガニーに統一された戸棚。大理石にテーブルクロスが敷かれたテーブル。
白い毛皮が敷かれた横長のゆったりとしたソファー。シャンデリア風の照明。

茶色と白のコントラストが映える部屋だった。
さすがに、値が張っただけはある。

「感謝しろよ。予約するだけでも、タイヘンだったんだからな」

オレは、目を赤くしている美代を連れながら部屋の中に入っていく。

とりあえず、顔を洗わせようか。
赤く腫れた彼女の目を見て、オレは彼女を風呂場の方へ促した。
彼女が化粧をしていないのは良かった。
涙が流れて、化粧までぐちゃぐちゃになってしまっただろうから。
…もっとも、化粧なんてしなくても彼女は可愛いのだけれど。

風呂場には一面大理石が敷き詰められていて、豪華に見えた。
風呂場全体が広い上に、バスタブもやたらと大きく、一度に5人は入れそうだ。
見れば、ジャグジーのようなものもついているらしい。

「ひとまず、顔を洗って。で、お風呂も済ませてこいよ」

彼女にタオルや袋詰めの石鹸を渡して、オレはそう言った。
こくん、と頷く彼女を見て、オレはこんな状況にも関わらず、
彼女をからかってやりたくなった。

「なんなら、一緒に入るか?」

途端に跳ねるように頭を上げ、顔を真っ赤にしながら

「けっ結構ですっ! 翔耶は待っててっ!!」

と、オレをドアの外へ押し出し、乱暴にドアが閉められた。

くす、とオレは笑みを漏らし、ドアを背に向けてもたれかかった。

「…照れちゃって可愛いんだから」





美代が出た後、入れ替わりにオレもシャワーを浴びさせてもらうこととなった。

互いに髪がまだ少しだけ濡れている状態で、
美代をソファーの上にそっと座らせてから
そばにある窓のカーテンを引いた。
しゃっ、と音を立ててパステルイエローのカーテンが横に寄せられる。

「うわぁ…」

美代が感嘆のため息をついた。

外はもうすっかり日が沈んでおり、雲ひとつない空からいくつもの星が瞬いていた。
ひときわ明るい、とても優しげな淡い光は…満月の光。
その下に広がるのは、赤、青、白、緑…色とりどりの光。
人工的なはずの建物の照明が、この部屋の窓からは宝石箱のように輝いていた。

ここは最上階ではないにしろ、かなり高い階にある部屋。
ここから見える夜景は…こういう雰囲気にぴったりマッチするベストポジションだった。

そっと、オレは美代の肩を抱き寄せる。
普段よりもずっと素直になっている美代は、すんなりとオレの肩に頭を預けた。
こつ、と小さな音を立ててオレの肩に暖かな感触が伝わる。

オレは肩に回した手を、美代の頭にやって柔らかい髪をそっと撫でた。
美代は、オレに手櫛をされるのが好きだ。
そのまま、そっと彼女の首元にも気付かれぬように指を這わす。

「でも翔耶…バイトなんかしなくたって、充分お金持ってるじゃない」

うっとりとした表情を唐突に崩して、美代は言った。

「バカ。お金っつったって親父の会社の金だろ。そんなの使えるかよ」

「…普段、お父さんの会社のお金で生活してるんじゃないの?」

「そりゃそうだけどさ…」

さすがに一気に言うほどの度胸は無くて、思わず口ごもった。
顔が熱くなるのがわかって、思わず顔を背ける。

「――やっぱり、一番大事な女への贈り物は、自分で稼いだ金で買ってやりたいんだよ」

『一番大切な女性には、自分で稼いだ金で贈り物をしてやりなさい。
 人のお金なんて、使いたくないだろう?』

オレは、物心ついたころからずっと聞いていた親父の言葉を思い出していた。
そんな歳でもないのに、生き生きとした表情でそう語っていた。
昔からこっ恥ずかしくて聞いていられなかった言葉だが、
今は…親父が繰り返してそう言っていた気持ちが、わかる気がする。

「もうそろそろだな」

壁にかかっている時計を見た。
その針は…今にも、12:00を指すところ。

そして――


ボーン……ボーン……


その時計が音を立て…
美代は、18歳になった。


「誕生日、おめでとう……美代」


彼女の頭を引き寄せながら、耳元で美代に囁く。
誰よりも…美代の親よりも先に、オレが言ってやりたかった。
彼女の誕生日を真っ先に祝ってやりたかった。

「ありがとう…翔耶」

微笑みながらそう言った美代は…間接照明と月明かりに照らされて、とても美しく見えた。

やっと、見せられるな。

「…これ、開けてみろ」

上着の内ポケットから、小箱を取り出す。
美代が、視線だけでオレに問いかけているのがわかった。

「いいから開けてみろって」

唇の端が弧を描いてしまいそうになりながら、彼女を促した。
これを見た彼女は、どんな顔をするのだろう。
どんな目で、オレを見るのだろう。
気付いて…くれるのだろうか。

「これ…って…」

小箱の中から取り出した、その指輪を見ながら彼女が呟く。
オレは指輪を取った美代の指に触れながら、耳元で囁いた。

「この石は…お前の誕生石だよ」

「ダイアモンド…?」

オレは頷いた。
今は4月…誕生石は、ダイアモンド。

「嘘――だって、高いんじゃ…!」

「ああ、結構値段が張ったぜ」

「翔耶…」

「まさか、要らないなんて言わないよな?」

泣き止んだはずの彼女の目から、ぽろぽろの光の粒が零れ落ちる。

「翔…耶ぁ…」

オレの胸に顔をうずめようとする彼女。
甘んじてそれを受け入れ、そっと彼女の頭を撫でる。

「オレが…こんなに美代に溺れてるのに、まだ信用してねーみたいだしな」

オンナを、欲望の捌け口としか見ていなかったオレ。
そんなオレが…農場で体中をドロだらけにしながら働くなんて。
彼女に言ったって、信じないかもしれない。
けれど、それは現実。

「こんなに溺れさせといて…責任、とってくれんのか? お姫様」

目の前にある彼女の可愛らしい耳に、ふっと息を吹きかけた。
びくっ、と体を一瞬震わせる美代。

そんな彼女を見ながら、オレは美代の背中と足に腕を通した。
そのまま、ぐいっと彼女の体を持ち上げる。
お姫様抱っこ、という奴だ。

「ちょ、離して翔耶! 重いよ!!」

「ああ、重いな」

言った途端、美代の顔が憎々しげに歪んだ。

「…って、はっきり言わなくてもいいじゃない! バカッ!!」

そして、急に手足をばたばたと振り回して抜け出そうとする。

…逃がして、たまるか!!

「だっ、暴れんな! 軽くても困るだろうが!」

「うるさいっ!」

「だーかーら! 人の話を聞けって!」

ぶんぶんと振り回される腕を掻い潜って、オレは彼女の耳元に口を近づけた。
そして…ずっと考えていた、殺し文句を囁く。


「一番大切な女の命と想いを支えてんだ…軽いわけないだろう?」





急に顔を真っ赤にして大人しくなった彼女を抱きかかえたまま、
オレは扉を開けて寝室に入った。
その中にあるのは、キングサイズの大きなベッド。

…やっぱり、これくらいデカくないとな。
上着を椅子の背もたれにかけながら、俺はそんなことを考えていた。

ベッドに横たえた彼女は、オレンジ色の柔らかな光に包まれ
神々しくすら見えた。

「翔耶」

「美代」

どちらともなく名前を呼びあう。
そうなるのが当たり前のように、自然に顔を近づけ…口付けを交わした。
そのまま、短くキスを繰り返し、徐々にその長さを伸ばしていく。

横たわった彼女の両肩を引き寄せるように、彼女を抱きしめた。
呼応するように彼女もオレの体に腕を回してくる。
男のものとは違う、柔らかく温かい、切ない感触が伝わってきた。

すでにオレたちのキスはバードキスどころではなくなっていた。
お互いの舌を突き出し、絡めあう。
少しだけざらざらとした柔らかい彼女の舌を舐めあげ、絡みつかせる。
その感触が心地よくて、オレは何度もそれを繰り返した。

美代も、オレの舌の動きに積極的に答えてくる。
オレの舌を求めて口の中へと進入し、うごめいてくる。
無意識か、彼女の体が揺れていて、
その感触にオレの胸から彼女を求める欲望が湧き出てくる。

初めて体を重ねるわけではないのに、なぜこんなにもひきつけられるのだろう。
なぜ、こんなにも彼女が神々しく見えるのだろう…。
全てをオレのものにしてしまわないとすまないような感覚。

「…悪い、美代…あんまり余裕、ない」

そう呟いてから、オレは胸の内で何かを繋ぎとめていた、理性を手放した…。



「ん……ふぁ……」

彼女の柔らかく弾力のある唇と、なめらかに動く舌先。
その感覚を手放したくなくて、オレはキスしたまま彼女の体に手を這わせる。

指先がワンピースの背についているファスナーに当たった。
オレは手探りでその頂上を探り当て、ゆっくりと降ろしていく。
あらわになった背に手を這わせた。
びくっと彼女の体が震える。
柔らかくて滑らかで…とてもさわり心地のいい肌。

もっと柔らかいところに触れたい。
オレは肩の部分から手を差し入れ、下着の上から彼女の胸に触れた。

「やぁ……んぅ…」

その瞬間、重なっている自分達の唇の間から悩ましげな声が漏れた。
キスを中断して、オレは彼女の顔を覗き込む。
美代は口を真一文字に結び、声を耐えようとしていた。

「美代……美代の可愛い声、ちゃんと聞かせて」

無意識にそう囁いていた。
彼女の声がもっと聞きたい。啼かせてやりたい。
恥かしそうに顔を背けて、体から力が抜けるその時を狙って、
オレは彼女の服を肩から外し、下まで引き降ろした。
透き通るように綺麗な、白い肌…
真珠のようなその肌に、オレは引き寄せられるように手で触れた。
…あらわになっているうなじに、オレの顔が引き寄せられていった。

「ひゃ…だ、ダメ、翔耶ぁ……」

唇が彼女の首に触れた瞬間、彼女の体がまたぴくんと震える。
その反応が可愛らしくて、首に何度もキスを降らせる。
オレが唇を離したところは、真っ赤な痕がいくつもついていた。

…オレのものだという、証。

一旦唇から顔を離して見下ろしたその光景が、とても淫靡で…。
オレは、胸を覆っている彼女の下着のホックを、ぱちんと外した。

「んん…は、あぁ……」

間髪いれずに彼女の胸に手を這わせる。
彼女の手がオレの手をジャマしようとするが、その腕を押さえつけて封じた。
包み込むように、優しく、そして波をつけるように時折強く…。
オレの掌に伝わってくる温かく柔らかな、なんともいえぬ感触と、
どくどくと脈打つ、彼女の心臓の鼓動。
その鼓動と同調させるように、彼女の胸の谷間にキスをする。

「やぁ…だめ、はずかしいから……ふぅ、ぁ…」

そして、じらすように乳輪の周りを指で擦りながら、
ピンク色のその頂きをそっと口に含んだ。

「…っ! んんんっ……!」

甘噛みをするように、唇で彼女の乳首を挟む。
さらに口全体で含み、舌先で先端をころころと転がした。
彼女の息が、鼓動が、いっそう荒くなる。

「はぁ、はあ、くぅ……っ!」

「美代、ここが弱いんだよな」

「……なっ! ば、ばか…ぁぁん……!」

何か口答えしようとしたので、舌を動かしてそれを遮った。
さらに、右の胸を自分の左手に任せて、左の胸にもキスをした。

感覚に酔いしれている美代。
その隙に、オレはするすると腰まで下げていた服をさらに下まだ降ろしていく。

「はぁぁっ…ふぁ、はぁ…」

まるで楽器を弾くように、オレの指と舌の動きで彼女の口から声が漏れる。
胸に耳を当てれば、心臓の鼓動さえも音楽を奏でているような気がした。

「…んんぅぅっ!! だ、だめ、しょうやぁ…!」

そして服が脚を通り、すっかり彼女は下着姿になっていた。
胸に少しだけ残っているブラの痕を沿うように、舌を滑らせる。

そのまま、指先は下着の上から彼女の女の子の部分に触れた。
そこは既に熱く濡れていて、指を置いただけでぴくっと震えた。
オレの指はそこに溝を見つけて、その上を往復するように擦る。

「はぁっ、ああっ、んんぅ……っ!」

彼女は既に吐息どころか、明確な快感を表す淫らな声を発していた。
そこからは断続的に粘っこく熱い液が溢れてきて、オレの指に絡みつく。

「ダメじゃない。言ったろ…もう、余裕ないから」

おしおき、といわんばかりに胸にキスをし、そこを強く吸った。
唇を離すと、そこには首筋にも残っている紅い華が。

「ぁ…だめ、そんなの、残したら……んんぁ!」

自分の体を見下ろし、状態を確認した美代が抗議しようとするけれど、
再び蠢きだしたオレの指によって黙らされた。
素早く彼女の下着を脱がせると、ここで一気に感じさせてやろうという気になった。

オレは美代の乳首を口に含みつつ、反対の胸の先端は指で、女性の一番感じる部分を反対の指で。
3つの急所に同時に刺激を加え、一斉にうごめかせた。

「んんぅぅっ! だめ、しょうやぁ……はぁ、ああ、んんんっ!!」

彼女の体全体が脈打つようにぴくぴくと震える。
体が火照って、ときおり大きく腰をグラインドさせる。

オレは唇に乳首を捕らえたまま、美代の心臓の音を聞いていた。
彼女への刺激と心臓の鼓動を同調させる。
美代とオレが一体になったかのような錯覚を受けた。

「美代の胸元に、オレのキスマークが残ってるな」

「やぁ…んんん! だめ、翔耶ぁ……!」

「服着てたって見えるし。美代が、オレのものだっていう証拠」

「はぁ、くぅ、ああっ……! 翔耶、あたしの、あたしだけのっ……!!」

いたずら心が沸いてきて、俺は唇の端をゆがめながら彼女の耳元で囁く。


「ああ…美代はオレのもの。オレも…おまえだけのものだ」



「ああっ、ふぁぁん、ああっ、あああっ!!」

彼女のソコが一層熱くなる。
鼓動が早くなり、それとあわせてオレの指と舌の動きも早くなる。
下の指に絡みつく粘液はいよいよ量と熱さを増して、彼女の状態を伝えてくる。

「んああんっ!! イク、イクッ……!!」

もはや何も考えられなくなったのか、彼女が切羽詰ったような声を上げた。

「美代…愛してる」

「…………ッッッ!!!!!」

トドメとばかりに囁きながら、オレの指が彼女の溝をえぐる。
体が何度も大きくバウンドして、達したことを伝えてきた。



オレは指を彼女のソコから離した。
思わず見た自分の指に、彼女の愛液が絡み付いていた。
(やべぇ…)
見下ろせば、息も絶え絶えに真っ赤な顔して横たわっている美代。
彼女がオレを潤んだ目で見上げてきた。

「美代……悪い、もうオレも限界」

いよいよオレも我慢の限界だ。
脱ぎかけていた服を完全に脱ぎ去ると、オレは彼女の体に覆いかぶさる。
オレのものも既に痛いくらいになってしまっていた。
彼女にキスしながら、枕元に置いておいたゴムに手を伸ばし、
片手だけでなんとかこじ開ける。

「ぁ……しょう、や、ちょっとまって、あたしまだ…」
「ダメ。待てない」
「や、ちょっと……んんっ!」

手早くゴムをかぶせて、先端を彼女のそこにつけた。
それだけで、先端からぶわっと波を被ったような感覚に包まれる。
オレは弱弱しく抵抗しようとする彼女を無視して、彼女の中に入った。
(くうぅっ…!)
彼女の中は、イッたばかりというのもあるのだろうけれど、
熱いばかりかぬるぬるとしたその感触はいつも以上にオレのそこに快感を伝えてきた。
ゴムごしでもわかる滑らかな凹凸のある彼女の内壁はぴくぴくと蠢き、絡み付いてくる。
オレはたまらず、彼女の中のえぐるようにかき回した。

「……ああぁっ! 翔耶、だめ、ふぁぁっ!」

悩ましげに喘ぐ美代の首筋を吸いながら、オレは包み込まれる愉悦に必死に耐える。

「お前…も、オレのここまで、狂わせといてっ…!」

「やぁ、翔耶、翔耶ぁ……あぁんんっ!!」

オレに彼女の状態を気遣う余裕がなくなっていた。
初めて体を重ねるわけでもないのに、強烈な快感と満足感。
彼女とオレが一体になっているのが、さきほど以上に伝わってきた。

押し付けられた胸から伝わるのは、柔らかな温かさとどくどくと激しく脈打つ血の流れ。
オレは全身で彼女を感じるように密着した。

体中から感じられる。
隙間の全くない肌の触れ合いに、どうしようもない心地よさが伝わる。

「はぁっ、はぁっ、ああぁっ!!」
「美代…美代っ!」
「翔耶ぁ……ああんっ!」

オレは必死に彼女のソコからの熱くこみ上げてくる感覚に耐えつつ、
彼女も感じるように変化をつけて動かした。
腰骨に押し付けるようにグラインドさせる。
彼女の花芯が同時に擦れて、彼女も気持ちよくなるはずだ。

けれど、その瞬間強烈に彼女がオレを締め付けた。

「や、やばい…そんな、締めるな……」
「…ばっ! は、ふぁあ……!」

抗議しようとしたらしいが、その言葉に反応してしまったのか、
またしてもそこが締まる。

「…っく、だから、止めろって!」
「ああぁっ……そんなこと言ったってっ……」

彼女の腰も、オレの同調するように動いていた。
そこ同士だけでなく、体全体を擦り合わせる。
愛しさがこみ上げてきて、オレは彼女の綺麗な唇に吸い付いた。

「……っはぁ、美代…っ!」
「翔耶、翔耶ぁっ……!」
「美代……愛してる…」
「あたしも…っ!! 翔耶を、愛してるっ…!」

カラダだけじゃない、心から愛していることを伝えたくて、
それでも言葉だけでしかそれを伝えられない…。
そんなもどかしさを一瞬覚えた。

「…んんぁっ! 翔耶、あたし、もぅ……っ!!」

唐突に、中の動きが変わった。
上下の振動から、搾り取るような捻る動きへと変わる。

限界が、近いのだろうか。

「イケよ…オレも、もう、限界だか、ら……くっ!」
「はぁっ、ああっ、ダメぇ……っ! んんっ!!!」

こちらも限界が近づいていた。
締め付けながらオレをしごくその動きに、オレの体の奥から熱い何かが溢れようとする。
(ダメ…だ…!!)
耐えられない、そう感じた瞬間、オレは一層強く彼女の一番感じる部分を連続で突いた。

「……!! ………!!!!」

彼女の体がのけぞる
一層強く引き締まる
隙間のないはずの中から熱い液が吹き出る
美代の鼓動のピークを感じ取って、一気に貫く。
同時に、オレたちの体が跳ねて、繋がっている部分から走った強烈な愉悦が全身を駆け巡った。

「み、よぉっ……!」
「…………あぁぁぁっ!!」

奥から何かが吹き出る感覚。
オレが欲望を放ったと同時に、彼女が体ごと大きく震えて最高の絶頂を迎えた。





「ね、翔耶…」

「何だ?」

「コレ、左手につけてもいい?」

彼女の最高の感覚を味わった後、オレたちはベッドの上でしばしの間ゆったりとしていた。
右腕で腕枕しながら、手先は彼女の髪を掬っている。
美代もオレも、この時間が好きだ。

「ダメだ」

「…何で?」

「ばぁか。どうしてオレがプラチナじゃなくてシルバーのリングにしたか、わかってんのか?」

「…それこそ、何で??」

…コレだ。
あいかわらず鈍いのですねぇ、オレの彼女サンは。
苦笑しつつも、今回はそれが色々と役立ったことも感じていた。

「はぁ…ほんっと、鈍いのな」

彼女がそれに感づけるくらい敏感なのならば、こんな表情は見れなかっただろう。


「プラチナは、こっち用な」


驚いたように目を見開いて、可愛らしく赤く俯く表情は。



Fin.



作者ナルタのコメント:

書き下ろし、というか文体の改善オマケがてらに、翔耶's side、お届けしました。
美代's sideと見比べてみてくださいな。
この場面で翔耶がどんなことを考えていたかがわかります。
しかし…3だけこんな長くなってしまってゴメンナサイ。
というわけで。

Thank you for reading.
このお話をここまで読んでくれて
あ り が と う

10/22/05

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